実家じまいを考え始めたとき、特に気になるのが費用ではないでしょうか。家財の片付けだけで済む場合もあれば、建物を解体して土地を売るケースもあり、必要なお金は実家の状態や広さによって大きく変わります。
一般的な戸建てでは、片付けに数十万円、建物の解体に100万円以上かかることも珍しくありません。さらに、不動産会社へ支払う仲介手数料、登記費用、測量費用などが加わる可能性があります。

この記事で分かること
- 実家じまいにかかる費用の全体像
- 実家の片付け費用と解体費用の目安
- 実家を売却するときに必要な諸費用
- ケース別の総額イメージ
- 費用を抑えるために先に確認したいこと
この記事では、実家じまいの費用を項目別に整理し、総額の目安や節約方法を解説します。金額はあくまで一般的な相場です。地域、建物の構造、家財の量、道路状況などによって変わるため、最終的には個別の見積もりで確認してください。
実家じまいの費用は合計いくらかかる?
実家じまいには決まった料金がありません。どこまで行うかによって、必要な費用が異なるからです。
| 実家じまいの方法 | 総額の大まかな目安 | 主な費用 |
|---|---|---|
| 家財を片付けて現状のまま売る | 20万~100万円程度+売却費用 | 片付け、清掃、必要に応じた登記 |
| 片付けと部分的な修繕をして売る | 50万~200万円程度+売却費用 | 片付け、清掃、修繕、登記 |
| 片付け後に建物を解体して売る | 150万~350万円程度+売却費用 | 片付け、解体、測量、登記 |
| 売らずに空き家として保有する | 初期費用に加えて毎年の維持費 | 片付け、固定資産税、管理、保険、光熱費 |
上記は一般的な戸建てを想定した概算です。大量の家財が残っている場合や、重機が入れない場所にある場合、建物にアスベストが使用されている場合などは高くなる可能性があります。
なお、実家じまいの進め方を先に確認したい方は、実家じまいとは?何から始める?費用・手順・片付け・売却まで解説も参考にしてください。
実家じまいにかかる費用の内訳
実家じまいの主な費用は、家財の片付け、建物の解体、不動産売却、登記・測量、空き家の維持管理に分けられます。すべてが必要になるわけではないため、実家の方針に合わせて確認しましょう。
実家の片付け費用
片付け業者へ家財の仕分けや搬出、処分をまとめて依頼する場合、部屋数と荷物の量によって料金が決まるのが一般的です。
| 間取り | 片付け費用の目安 |
|---|---|
| 1K・1DK | 3万~10万円程度 |
| 1LDK・2DK | 8万~25万円程度 |
| 2LDK・3DK | 15万~40万円程度 |
| 3LDK・4DK | 20万~60万円程度 |
| 4LDK以上の戸建て | 30万~100万円以上 |
同じ間取りでも、押し入れや物置に荷物が詰まっている家と、すでに整理されている家では金額が変わります。大型家具、家電、ピアノ、金庫などがあると、追加費用が発生する場合もあります。
見積もりでは、車両費、作業員の人件費、処分費、階段作業費、簡易清掃費が料金に含まれているか確認してください。見積書が「作業一式」とだけ書かれている場合は、追加料金が発生する条件も聞いておきましょう。
自分で片付ける場合の費用
家族で片付ければ人件費を抑えられますが、費用が完全にゼロになるわけではなく、自治体の粗大ごみ処理手数料、ごみ処理施設までの運搬費、レンタカー代、交通費、宿泊費などが必要になります。
- 粗大ごみ・一般廃棄物の処分費
- トラックやレンタカーの利用料
- 遠方から通う場合の交通費・宿泊費
- 段ボール、手袋、清掃用品などの購入費
- 家電リサイクル法の対象品を処分する費用
家庭から出るごみの扱いや持ち込み方法は自治体によって異なります。無許可の不用品回収業者とのトラブルを避けるためにも、処分方法は実家のある自治体へ確認しましょう。
仏壇・神棚・遺品に関する費用
仏壇や神棚は、そのまま廃棄せず、寺院や仏具店などへ相談する家庭もあります。供養や引き取りにかかる金額は依頼先や大きさによって異なるため、複数の方法を確認してください。
また、写真、手紙、通帳、権利証、保険証券、貴金属などを誤って処分しないよう、業者が入る前に重要品を分けることが大切です。必要な物を新居や親族宅へ運ぶ場合は、引っ越し代や保管倉庫代も予算に含めます。
実家の解体費用
解体費用は、建物の構造と延べ床面積を基準に計算されることが多く、一般的には「坪単価×建物の坪数」が基本になります。
| 建物の構造 | 1坪あたりの解体費用の目安 | 30坪の場合の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万~6万円程度 | 90万~180万円程度 |
| 鉄骨造 | 4万~7万円程度 | 120万~210万円程度 |
| 鉄筋コンクリート造 | 6万~10万円程度 | 180万~300万円程度 |
この金額は建物本体を解体する費用の目安です。次のような工事は別料金になる場合があります。
- ブロック塀、門、物置、庭石、樹木の撤去
- 家財や残置物の処分
- 地中から見つかった基礎、浄化槽、古い配管などの撤去
- アスベストの事前調査と除去
- 重機が入れない場所での手作業
- 交通整理員や道路使用に関する費用
- 解体後の整地や建物滅失登記
建築物の解体工事では、法令に基づくアスベストの事前調査が必要です。アスベストが見つかった場合は、除去や飛散防止対策により費用が増える可能性があります。見積もりを比較するときは、調査費や追加工事の扱いも確認してください。
不動産売却にかかる費用
実家を不動産会社の仲介で売却すると、売買契約が成立した際に仲介手数料がかかります。売買価格が400万円を超える場合、一般的に使われる上限額の速算式は次のとおりです。
仲介手数料の上限=売買価格×3%+6万円+消費税
例えば、1,000万円で売却した場合の上限は39万6,000円、3,000万円の場合は105万6,000円です。仲介手数料は法律で定められた一律料金ではなく、あくまで上限額です。
また、2024年7月から、売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」では、一定の条件を満たし、事前に説明と合意があれば、売主側の仲介手数料の上限を33万円(税込)とする特例があります。通常の計算より高くなる場合があるため、媒介契約を結ぶ前に確認しましょう。
仲介手数料以外では、売買契約書の印紙税、住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消費用、登記上の住所や氏名を直す費用などが発生することがあります。
相続登記や測量にかかる費用
亡くなった親の名義のままでは、原則として実家を売却できません。相続人を確定し、遺産分割の手続きをしたうえで相続登記を行います。
相続登記では登録免許税がかかるほか、司法書士へ依頼する場合は報酬が必要です。戸籍の収集費用や相続関係の複雑さによっても総額が変わります。相続登記は2024年4月から義務化されているため、期限や必要書類は法務局または司法書士へ確認してください。
土地の境界が不明確な場合は、売却前に測量を求められることがあります。一般的な住宅地の確定測量は35万~80万円程度が一つの目安ですが、土地の広さ、隣接地の数、官有地との境界確認などによって高くなる場合があります。
売却後の税金
実家を売って利益が出ると、譲渡所得に対して所得税や住民税がかかる可能性があります。税額は売却価格だけでなく、親が購入したときの価格、購入・売却にかかった費用、所有期間、利用できる特例などによって変わります。
相続した空き家には一定の要件を満たす場合に利用できる税の特例もありますが、建築時期、居住状況、売却時期、耐震性など細かな条件があります。適用を前提に資金計画を立てず、税務署や税理士へ最新情報を確認してください。
売却まで空き家を維持する費用
実家じまいは、売却を決めてもすぐに完了するとは限りません。買主が決まるまでは、次のような維持費が発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 電気、水道などの基本料金
- 庭木の剪定、除草、害虫対策
- 換気、通水、郵便物確認などの管理費
- 遠方から実家へ行くための交通費
建物を解体すると、住宅用地に対する固定資産税の特例が適用されなくなり、翌年度以降の土地の税負担が増える場合があります。解体後すぐに売れるとは限らないため、解体前に売却価格と販売期間を不動産会社へ確認しておくことが重要です。
実家じまい費用のケース別シミュレーション
ケース1:家財を片付けて中古住宅として売る
- 家財の片付け:30万~70万円
- ハウスクリーニング:5万~15万円
- 登記など:数万円~
- 仲介手数料など:売却価格に応じて計算
建物が利用できる状態なら、解体せずに売ることで初期費用を抑えられます。ただし、大規模な修繕をしても工事費を売却価格へ上乗せできるとは限りません。リフォーム前に不動産会社へ査定を依頼し、そのまま売る場合との価格差を確認しましょう。
ケース2:30坪の木造住宅を解体して土地を売る
- 家財の片付け:30万~80万円
- 建物本体の解体:90万~180万円
- 外構・庭木などの撤去:10万~50万円以上
- 滅失登記や測量:必要に応じて数万円~80万円程度
- 仲介手数料など:土地の売却価格に応じて計算
合計は150万~300万円を超えることがあります。地中埋設物やアスベストが見つかると追加費用が発生する可能性もあるため、予備費を用意しておくと安心です。
ケース3:最低限の片付けだけ行い現状のまま売る
- 貴重品や必要品の仕分け:家族で対応
- 最低限の家財処分:10万~40万円
- 仲介手数料など:売却価格に応じて計算
買主がリフォームや解体を行う前提で、古家付き土地や現状渡しとして売る方法です。売却価格は下がりやすい一方、売主が先に高額な解体費を負担せずに済む可能性があります。
実家じまいの費用を抑える5つの方法
1.解体する前に不動産査定を受ける
古い家でも、中古住宅、リフォーム素材、古民家などとして需要がある場合があります。先に解体すると元に戻せないため、少なくとも一度は建物付きの状態で査定を受けてください。
「古家付きで売る場合」と「更地にして売る場合」の査定価格を比較すると、解体費を負担する意味があるか判断しやすくなります。
2.片付け業者と解体業者は複数社を比較する
同じ実家でも、業者によって作業人数、処分方法、見積もり範囲が異なります。金額だけでなく、追加料金の条件、作業日数、損害保険の有無、許可を持つ処理業者との連携なども比べましょう。
写真だけの見積もりでは荷物量や道路状況を正確に判断できないことがあります。可能であれば現地を確認してもらい、書面で見積もりを受け取ると安心です。
3.売れる物と処分する物を分ける
比較的新しい家電、家具、骨董品、ブランド品などは、買い取りの対象になる場合があります。ただし、買い取り価格を過度に期待せず、処分費の一部を補う方法として考えるのが現実的です。
4.自分でできる範囲だけ先に片付ける
衣類や本など、運びやすい物を自治体のルールに沿って処分しておくと、業者へ依頼する物量を減らせます。一方、大型家具の運搬や高所作業を無理に行うと、けがや建物の破損につながります。作業量と安全性のバランスを考えてください。
5.自治体の補助制度を確認する
自治体によっては、老朽危険空き家の解体、家財処分、耐震改修などに補助制度を設けています。ただし、工事の契約や着工前の申請が必要な制度が多く、すべての空き家が対象になるわけではありません。
補助金を利用したい場合は、業者と契約する前に実家のある市区町村へ確認しましょう。年度途中で受付が終了することもあります。
見積もりを取る前に決めておきたいこと
実家じまいの費用を把握するには、片付け業者へ連絡するだけでなく、最終的に実家をどうするか考える必要があります。
- 相続人と名義を確認する
- 実家を残す、売る、解体する選択肢を整理する
- 不動産会社に現状のまま査定してもらう
- 必要な範囲だけ片付け・解体の見積もりを取る
- 売却価格から諸費用を引いた手取り額を比較する
重要なのは、片付け費用や解体費用だけで判断しないことです。「売却価格-片付け・解体・仲介・登記・税金」が最終的な手取りの目安になります。まず不動産査定を受け、費用をかけることで売りやすさや手取りがどの程度変わるか確認しましょう。
まとめ
実家じまいの費用は、家財の量、建物の構造、売却方法などによって大きく変わります。戸建ての片付けは30万~100万円以上、30坪の木造住宅の解体は建物本体だけで90万~180万円程度が一つの目安です。
さらに、仲介手数料、登記、測量、税金、売却までの維持費が必要になる場合があります。解体してから売ることが必ず有利とは限りません。最初に不動産査定を受け、現状売却と更地売却の価格を比較することが大切です。
片付け業者や解体業者を選ぶ際は、複数社から現地見積もりを取り、作業範囲と追加料金の条件を確認してください。相続や税金が関係する場合は、司法書士や税理士などの専門家にも相談しながら進めましょう。
実家じまいの費用に関するFAQ
- Q実家じまいには最低でもいくら必要ですか?
- A
家財が少なく、自分たちで片付けて現状のまま売れる場合は、数万円から始められることもあります。一方、家財が多い戸建てを業者が片付け、建物も解体する場合は、150万~300万円以上かかる可能性があります。まずは片付け、解体、不動産売却を分けて見積もると総額を把握しやすくなります。
- Q実家の片付け費用は誰が払うのですか?
- A
法律上の負担関係や遺産分割の内容によりますが、相続後は相続人が話し合って負担するのが一般的です。代表者が立て替える場合は、金額や精算方法を記録し、領収書を保管してください。売却代金から精算する場合も、相続人全員で事前に合意しておくとトラブルを防げます。
- Q家財を残したまま実家を売ることはできますか?
- A
買主や不動産会社との条件が合えば可能です。ただし、家財の処分費を見込んで売却価格が低くなったり、引き渡し前の撤去を求められたりすることがあります。片付けて売る場合と、そのまま売る場合の両方を査定してもらうと比較しやすくなります。
- Q実家は解体してから売ったほうがよいですか?
- A
必ずしも解体したほうがよいとは限りません。中古住宅として需要がある地域では、建物を残したほうが売りやすい場合があります。解体すると費用が先に発生し、土地の固定資産税が増える可能性もあるため、解体前に不動産会社へ相談してください。
- Q片付けや解体の補助金は利用できますか?
- A
実家のある自治体が補助制度を設けていれば利用できる可能性があります。ただし、対象となる建物の状態、所得、工事業者、申請時期などに条件があります。契約や着工後は申請できないことがあるため、必ず工事前に自治体へ確認しましょう。



