実家を査定してもらったものの、予想より大幅に低い金額を示されると、「安く買いたたかれているのでは」と不安になるものです。
ただし、査定額が低い理由は建物の古さだけではありません。土地の形や接している道路、周辺の需要、修繕の必要性など、複数の条件が影響します。
査定額に納得できないときは、すぐに売却を断念したり、反対に一番高い査定額へ飛びついたりする必要はありません。土地と建物がそれぞれいくらと評価されたのか、どのような根拠で減額されたのかを確認することが先です。

この記事は次のような人におすすめ!
- 実家の査定額が低くなる土地・建物・立地上の理由
- 古い家の建物査定がゼロになる意味
- 査定額に納得できないときの確認手順と相談先
実家の査定額が低くても、売却価格が確定したわけではない
不動産会社が示す査定額は、「この条件なら、一定の期間内に売れる可能性がある」と予想した金額です。実際にその金額で売れると保証されたものではありません。
売り出し価格は、査定結果や売却の希望時期を踏まえて売主が決めます。その後、購入希望者との交渉によって最終的な売買価格が決まります。
また、不動産会社によって査定額が異なることも珍しくありません。比較する物件や地域の需要に対する見方、想定する販売方法が違うためです。
仲介の査定と買取価格は意味が違う
査定結果を見るときは、「仲介」と「買取」のどちらを前提にした金額なのかを確認してください。
- 仲介:不動産会社が購入者を探し、売主と買主の売買を取り持つ方法
- 買取:不動産会社が実家を直接買い取る方法
買取では、不動産会社が購入後の修繕や再販売にかかる費用、売れ残るリスクなどを見込んで価格を出します。そのため、一般の購入者へ売ることを想定した仲介の査定額より低くなる傾向があります。
一方、早く現金化しやすいことや、荷物が残った状態でも相談できる場合があることは買取の利点です。金額だけでなく、売却までの期間や片付けの条件も含めて比べるとよいでしょう。
実家の土地査定が低くなる主な理由
古い実家では、建物より土地の評価が査定額の中心になることがあります。ただし、土地の広さが同じでも、使いやすさや建て替えのしやすさによって価格は変わります。
駅や生活施設から遠く、購入需要が少ない
買いたい人が少ない地域では、土地が広くても査定額が伸びにくくなります。駅や学校、病院、買い物施設までの距離のほか、車が必要な地域かどうかも判断材料になります。
近所で長期間売れていない物件が多い場合や、売り物件が余っている場合も、慎重な査定になりやすいでしょう。
土地の形や高低差が使いにくい
細長い土地、三角形などの不整形な土地、道路との間に大きな高低差がある土地は、建物の配置が難しくなることがあります。
がけや古い擁壁がある場合は、安全性の確認や工事が必要になる可能性もあります。こうした将来の費用が査定に反映されていないか、担当者へ尋ねてみてください。
道路との関係に問題がある
土地がどの道路に、どの程度接しているかは、建て替えができるかどうかに関わります。見た目は道路でも、法律上の道路として扱われないケースもあるため注意が必要です。
条件によっては、建物を取り壊した後に新しい家を建てられない「再建築不可」となることがあります。建て替えられる場合でも、道路を広げるために土地の一部を後退させる必要があるケースがあります。
査定書に「接道」「セットバック」「再建築」といった言葉があれば、具体的にどの部分が価格へ影響しているのか確認しておくと安心です。
境界が分からない、越境物がある
隣の土地との境を示す境界標が見つからない場合、土地の正確な範囲を確認する作業が必要になることがあります。
屋根や塀、樹木などが隣地にはみ出している「越境」も、売却前に整理を求められる可能性があります。測量や隣地所有者との確認にかかる手間が、査定額に影響することもあります。
利用や建築に制限がある
土地には、建てられる建物の用途や大きさ、高さなどに制限があります。希望する建物を建てにくい土地は、購入対象となる人が限られるため、評価が低くなる場合があります。
市街化が抑えられている地域や農地などでは、売買や利用方法に手続き・制限が関係することもあります。該当する場合は、不動産会社だけでなく自治体の担当窓口にも確認するとよいでしょう。
災害リスクや周辺環境が影響している
浸水や土砂災害などのリスク、騒音、におい、周辺施設の状況が査定の判断材料になることもあります。
災害リスクのある区域だから一律に売れないわけではありません。ただし、購入希望者が慎重になりやすい地域では、周辺の成約事例より低めに見られる可能性があります。
建物の査定が低い・ゼロになる主な理由
「古い家の査定はゼロです」と言われることがあります。これは通常、不動産全体に価値がないという意味ではなく、査定上の建物価格が付かなかったという意味です。土地には価格が付いている可能性があります。
築年数が経過し、建物を利用しにくい
築年数が古い建物は、購入後に大きな修繕が必要になると見込まれやすくなります。現在の生活に合わない間取りや設備も、査定が伸びにくい理由です。
ただし、古いという理由だけで必ず売れないわけではありません。定期的に手入れされている家や、古民家としての魅力がある家などは、建物を使いたい購入者が見つかる可能性もあります。
雨漏りや傾き、設備の故障がある
雨漏り、シロアリ被害、床や建物の傾き、給排水設備の故障などがあると、修繕費を見込んで査定額が下がることがあります。
過去の修繕記録や点検記録が残っていれば、査定時に提示してください。所有者しか知らない不具合も隠さず伝え、どの不具合がいくら程度の減額理由になったのか聞いてみましょう。
現在の耐震基準への対応状況が分からない
古い建物では、耐震性を不安に感じる購入者が少なくありません。耐震診断や耐震改修を行った記録がない場合、購入後の調査や工事が必要になる可能性も考慮されます。
増築部分がある場合は、確認申請などの書類が残っているかも確認してください。書類が見つからないときは、その状態が査定へどう影響したのかを担当者に聞くと状況を整理できます。
解体費や片付け費用を見込まれている
建物を利用するのが難しく、土地として売ることが想定される場合は、解体費が価格に影響します。家の中に残された家具や家電など(残置物)が多ければ、その撤去費用も考慮されることがあります。
特に買取価格では、解体・片付け・修繕などの費用があらかじめ差し引かれている場合があります。「建物がゼロ」という説明だけでなく、どの費用をどのように見込んだのか確認してください。
固定資産税の評価額より査定が低いのはおかしい?
固定資産税の評価額と不動産会社の査定額は、目的も計算方法も異なります。そのため、両者が同じ金額になるとは限りません。
不動産会社の査定では、実際の売買事例や現在の需要、物件ごとの条件などを踏まえます。固定資産税の評価額より低いからといって、それだけで査定が誤っているとは判断できません。
一方で、土地の面積や建物の状態など、査定の前提情報が間違っている可能性はあります。固定資産税の納税通知書だけでなく、登記事項証明書や購入時の資料、測量図などがあれば照らし合わせてみましょう。
査定額に納得できないときに確認すること
査定額が低いと感じたら、「もう少し高くなりませんか」と金額だけを交渉するより、計算の根拠を順番に確かめるほうが解決につながります。
1.土地と建物の内訳を確認する
査定額の総額だけでなく、土地と建物がそれぞれいくらと評価されたのか聞いてください。建物価格がゼロでも、土地価格の計算が妥当なら、全体の査定に一定の根拠があると判断できます。
反対に、土地の単価が周辺の相場より低い場合は、接道や土地の形、建築制限などが影響していないか確認します。
2.比較した物件を見せてもらう
不動産会社は、周辺で売れた物件や現在売り出されている物件などを参考に査定します。どの物件と比較したのか、実家と条件がどう違うのかを説明してもらいましょう。
- 実家からの距離や地域の違い
- 土地と建物の広さ
- 築年数や建物の状態
- 道路の幅や土地の形
- 売り出し価格ではなく、実際に売れた価格か
売り出し中の価格は、売主の希望を含む金額です。実際に売買が成立した価格とは限らないため、同じものとして比べないようにしてください。
3.減額項目と想定費用を聞く
解体や修繕、測量、荷物の撤去などを理由に減額されている場合は、査定上いくらを見込んでいるのか聞きます。
「古いから」「地方だから」といった説明だけでは、妥当性を判断できません。担当者には、次のように具体的に質問すると話を整理しやすくなります。
- 建物価格が付かない理由は何ですか
- 土地の単価はどの資料を基にしていますか
- 査定額から差し引いている費用はありますか
- 仲介で売る場合と買取の場合の金額を分けて教えてください
- 売却期間を長く取れば、価格を上げられる可能性はありますか
4.査定の前提情報に誤りがないか確かめる
簡易的な査定では、現地を見ずに住所や面積などの情報だけで計算することがあります。リフォーム歴、日当たり、眺望、駐車スペースなどが反映されていない可能性もあります。
査定書に記載された土地・建物の面積、築年数、道路状況などに誤りがないか確認してください。修繕記録や建築時の書類があれば、追加資料として提示すると再検討してもらえる場合があります。
5.同じ条件で複数の会社へ査定を依頼する
一社の説明だけで判断できないときは、別の不動産会社にも査定を依頼する方法があります。会社ごとの違いを正しく比べるには、仲介か買取か、荷物を残すか、いつまでに売りたいかなどの条件をそろえてください。
高い金額を出した会社が最適とは限りません。高値で売り出しても購入者が現れず、値下げを繰り返すこともあるためです。査定の根拠、販売方法、地域での取り扱い経験、担当者の説明の分かりやすさも比較しましょう。
実家の査定を依頼するときの準備や注意点は、実家じまいの手順・費用・売却をまとめた記事でも確認できます。
査定額を上げるために、先に解体やリフォームをするべき?
査定が低くても、自己判断で大規模なリフォームや解体を始めるのは慎重に考えたほうがよいでしょう。かけた費用をそのまま売却価格へ上乗せできるとは限らないからです。
中古住宅として探している人は、自分の好みに合わせて改修したいと考えることがあります。土地を探している人でも、解体費を考慮した価格なら古家付きで購入する場合があります。
また、建物を解体すると、土地にかかる税金の扱いが変わる可能性があります。解体時期を決める前に、売却を依頼する不動産会社や自治体の窓口へ確認しておくと安心です。
費用をかける前に、次の売り方をそれぞれ査定してもらうと比較しやすくなります。
- 現在の建物を残したまま売る
- 売主が解体して更地で売る
- 買主による解体を前提に価格を調整する
- 不動産会社へ現状のまま買い取ってもらう
低い査定を受けた後の売却方法の選び方
どの売り方が合うかは、価格だけでなく、売却を急ぐかどうかでも変わります。
- 時間をかけられる:仲介で購入者を探し、反応を見ながら価格を調整する
- 早めに手放したい:買取査定も受け、期間や手間を含めて比べる
- 建物の状態が悪い:古家付き土地、解体後の土地、現状買取の査定を比較する
- 遠方で管理が難しい:片付けや現地対応を含めて依頼できる会社を探す
仲介と買取の特徴や相談先を比べたい方は、実家の売却・買取サービスの選び方をご覧ください。
実家の低い査定に関するよくある質問
- Q査定額が低い不動産会社は断ってもよいですか?
- A
査定を受けただけで、その会社と契約する義務が生じるわけではありません。説明を聞いても納得できない場合は、ほかの会社へ相談できます。ただし、低い金額でも根拠が具体的なら、地域の相場を正確に反映している可能性があります。
- Q査定額の見直しをお願いできますか?
- A
面積や築年数などに誤りがある場合や、修繕履歴などの追加資料を提示できる場合は、再確認を依頼できます。希望額だけを伝えるのではなく、見直してほしい理由と資料を示すと話が進みやすくなります。
- Q古い家の建物査定がゼロなら、無料で譲ることになりますか?
- A
建物査定がゼロでも、土地に価格が付けば実家全体としては価格が付き、売却できます。ただし、解体費などが土地価格を上回ると見込まれる物件では、売却条件が厳しくなる可能性があります。土地と建物、差し引かれる費用の内訳を確認してください。
- Q部屋を片付ければ査定額は上がりますか?
- A
日常的な掃除だけで土地や建物の査定が大きく変わるとは限りません。ただし、室内を確認しやすくなり、管理状態の印象がよくなる利点はあります。大量の家具やごみの撤去費が査定に含まれているなら、片付け後の条件でも見積もってもらうとよいでしょう。
- Q不動産会社の査定と不動産鑑定は同じですか?
- A
同じではありません。不動産会社の査定は、売却を想定して市場価格を見積もるものです。不動産鑑定士による鑑定評価は、専門的な基準に基づいて不動産の価値を示すもので、費用がかかります。通常の売却検討では、不動産会社の査定を比較するところから始める方法が一般的です。
まとめ|低い理由を分けて確認してから売り方を決める
実家の査定額が低いときは、建物の古さだけでなく、土地の形、道路、建築上の制限、周辺需要、修繕や解体の費用などが影響している可能性があります。
査定書を受け取ったら、土地と建物の内訳、比較した物件、減額項目、仲介と買取のどちらを前提にした金額かを確認してください。説明が曖昧な場合は、同じ条件で別の会社へ査定を依頼すると判断材料が増えます。
高い査定額だけを選ぶのではなく、「なぜこの金額なのか」を納得できるまで確かめることが、その後の売却を進めやすくする第一歩です。




