実家じまいを考え始めても、「片付けから始めるのか」「先に不動産会社へ相談するのか」と迷う方は少なくありません。
結論からいうと、最初にすることは片付けではなく、実家の名義や家族の意向、今後の予定を確認することです。先に家の処分方法を決めておくと、残す物の判断や必要な手続きが見えやすくなります。
この記事では、実家じまいでやることを進めやすい順番で整理しました。すでに空き家になっている場合だけでなく、親が存命の場合や相続後の場合についても説明します。

この記事は次のような人におすすめ!
- 実家じまいで最初に確認すること
- 話し合いから売却・片付けまでの手順
- 状況別に注意したい手続き
実家じまいは何から始める?最初に確認する3つのこと
実家じまいの進め方は、親が住んでいるのか、施設へ入居しているのか、すでに亡くなっているのかによって変わります。
片付け業者や不動産会社を探す前に、次の3点を確認しておきましょう。
1.実家の現在の状況
- 親や親族が住んでいる
- 親が施設や病院へ移り、しばらく空き家になっている
- 親が亡くなり、誰も住んでいない
- 賃貸や物置として使っている
- 雨漏りや庭木など、早めに対応したい問題がある
雨漏り、漏水、窓の破損などがある場合は、将来の方針が決まる前でも応急対応をしたほうがよいことがあります。郵便物がたまっている、庭木が隣の敷地へ伸びているといった問題も放置しないようにしましょう。
2.土地と建物の名義
実家を売ったり取り壊したりできるのは、原則として所有者です。親が費用を負担して建てた家でも、現在の名義が親とは限りません。
固定資産税の納税通知書、登記事項証明書、購入時の契約書などから、土地と建物の名義を確認します。土地は父、建物は母というように、別々の名義になっている場合もあります。
登記上の名義人がすでに亡くなっている場合は、売却の前に相続登記が必要になるのが一般的です。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが原則となっているため、放置せずに確認してください。
3.親と家族の意向
親が存命で意思を確認できるなら、「誰も住まなくなった後にどうしたいか」を聞いておきます。売りたい、残したい、子どもに任せたいなど、考え方は人によって異なります。
兄弟姉妹がいる場合は、実家を残したい人がいないか、片付けや費用をどう分担するかも話し合います。口頭だけで終わらせず、決まった内容をメールやメモで共有しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。
実家じまいの意味や全体像から確認したい方は、実家じまいとは何か、費用や売却までまとめた記事もご覧ください。
実家じまいの手順を8段階で確認
実家じまいは、次の順番で進めると作業のやり直しを減らせます。すべてを一度に終わらせようとせず、現在の状況に合う段階から取り組みましょう。
手順1.親や家族と今後の方針を話し合う
実家に誰も住まなくなった後、売るのか、貸すのか、家族が使うのかを話し合います。すぐに結論が出なくても、「いつまでに判断するか」を決めておくだけで前へ進みやすくなります。
- 将来、実家へ戻って住む人はいるか
- 親は実家を残したいと考えているか
- 維持費を誰が負担するか
- 売却代金や家財の扱いをどうするか
- 誰が連絡役になるか
親が所有者である間に売る場合、売買契約などは原則として親本人の意思に基づいて進めます。子どもだからといって、本人に代わって自由に処分できるわけではありません。
親の判断能力が低下していると、売却の進め方が複雑になることがあります。本人の状態や必要な手続きに応じて、司法書士などへの相談を検討しましょう。
手順2.名義と相続関係を確認する
土地と建物の名義に加えて、住宅ローンや担保の有無も確認します。親が亡くなっている場合は、遺言書の有無と相続人が誰なのかも調べます。
- 固定資産税の納税通知書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 権利証または登記識別情報通知
- 購入時の売買契約書や建築関係の書類
- 遺言書や遺産分割に関する書類
- 住宅ローンや抵当権に関する書類
書類が見つからなくても、売却や相続登記が一切できなくなるとは限りません。ただし、別の手続きや追加の確認が必要になるため、見つかった書類はまとめて保管しておきましょう。
手順3.実家の状態と維持費を調べる
実家を残すか手放すか判断するには、毎年どのくらいの費用と手間がかかるのかを把握することが欠かせません。
- 固定資産税や都市計画税
- 火災保険や地震保険
- 電気、水道、ガス、通信費
- 庭木の手入れや清掃費
- 管理を依頼する場合の費用
- 修繕が必要な場所と、おおよその費用
空き家でも、税金や保険、管理の負担は続きます。遠方にある実家では、交通費や移動時間も含めて考えたほうが現実的です。
手順4.売却価格の目安を調べる
売るか残すか決まっていない段階でも、不動産査定を受けることはできます。いくらで売れそうかが分かれば、修繕や片付けにどこまで費用をかけるか判断しやすくなります。
査定は、家の中が片付いていなくても相談できます。「きれいにしてからでないと見てもらえない」と考え、片付けに多額の費用をかける必要はありません。
査定額だけで決めず、売却方法、必要な修繕、家財を残したまま売れるかなども確認しましょう。会社によって査定の考え方が異なるため、複数の不動産会社へ相談して比べる方法もあります。
手順5.実家をどうするか決める
家族の意向、維持費、査定結果をそろえたうえで、実家の扱いを決めます。主な選択肢は次のとおりです。
- 土地と建物をそのまま売る
- 建物を解体して土地として売る
- 不動産会社が直接買う「不動産買取」を利用する
- 賃貸住宅として貸す
- 家族が住む、または別の用途で使う
- 当面は空き家として管理する
古い家でも、中古住宅や古家付き土地として売れる可能性があります。売却前に解体すると費用がかかるほか、土地に対する税金の扱いが変わる場合もあります。解体は自己判断で急がず、不動産会社や自治体へ確認してから決めるとよいでしょう。
手順6.家財を仕分けて片付ける
方針が決まったら、家の中に残された家具や家電などを片付けます。最初からすべて捨てようとせず、次のように分けると作業しやすくなります。
- 家族が残す物
- 売却や寄付を検討する物
- 個人情報が含まれる物
- 自治体のごみ収集へ出す物
- 片付け業者へ処分を依頼する物
- 判断を保留する物
通帳、印鑑、保険証券、権利証、写真、貴金属などは、処分品に混ざりやすいため注意が必要です。親が亡くなった後の家財は相続財産に当たることがあるので、他の相続人に無断で売却や処分をしないようにします。
荷物が多い場合は、片付け業者から見積もりを取る方法もあります。作業範囲、追加料金、家電の処分費、買い取り品の扱いまで書面で確認しましょう。
手順7.売却・解体などの手続きを進める
売却する場合は、不動産会社と媒介契約を結んで買主を探す方法と、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。
一般の買主を探す売却は、条件に合う相手が見つかるまで時間がかかることがあります。不動産買取は早く進めやすい一方、売却価格は通常の売却より低くなる傾向があります。期限と価格のどちらを優先するか考えて選びましょう。
解体する場合は、建物内の物を撤去し、解体業者の見積もりを比較します。工事後は、建物がなくなったことを登記に反映する「建物滅失登記」も必要です。
手順8.契約や住所に関する整理をする
実家を売却した後や使わなくなった後は、生活に関する契約も整理します。早く解約しすぎると片付けや内覧に支障が出るため、停止日は作業予定に合わせて決めましょう。
- 電気、ガス、水道
- 固定電話、インターネット
- 新聞や定期配送
- 火災保険などの保険契約
- 郵便物の転送
- 自治会や地域サービス
- 金融機関や各種契約の登録住所
売却によって利益が出た場合は、確定申告が必要になることがあります。取得時の契約書や売却時の費用が分かる書類を保管し、判断に迷う場合は税務署や税理士へ確認してください。
そのまま使える実家じまいチェックリスト
家族で担当者と期限を書き加えながら使うと、進み具合を共有しやすくなります。
- □ 親が実家をどうしたいか確認した
- □ 兄弟姉妹など関係する家族と話し合った
- □ 土地と建物の名義を確認した
- □ 遺言書と相続人の有無を確認した
- □ 権利証、契約書、納税通知書などを探した
- □ 固定資産税や管理費を把握した
- □ 雨漏り、漏水、防犯上の問題を確認した
- □ 不動産会社へ査定を依頼した
- □ 売却、活用、保有のどれにするか決めた
- □ 通帳、印鑑、貴金属、思い出の品を分けた
- □ 自分たちで片付ける範囲を決めた
- □ 必要に応じて片付け業者の見積もりを取った
- □ 売却や解体に必要な手続きを確認した
- □ 電気、水道、保険などの停止時期を決めた
- □ 売却や片付けに関する書類を保管した
状況によって実家じまいの始め方は変わる
親が実家に住んでいる場合
親の生活を急に変えないことを優先し、将来の希望を聞くところから始めます。「実家を処分する話」と切り出しにくいときは、災害への備えや大切な書類の保管場所を確認する話から始めてもよいでしょう。
親の同意を得ながら、使っていない部屋や明らかな不要品を少しずつ整理します。本人に無断で物を捨てると、その後の話し合いが難しくなるため避けましょう。
親が施設へ入居した場合
一時的な入居なのか、実家へ戻る予定がないのかを確認します。戻る可能性があるうちは、生活に必要な物をすべて処分しないようにしましょう。
空き家にする場合は、郵便物、戸締まり、通水、換気、庭木の管理方法を決めます。火災保険の契約内容も、空き家になった後に補償が続くか保険会社へ確認しておきましょう。
親が亡くなった後の場合
遺言書と相続人を確認し、遺産分割の話し合いを進めます。実家だけでなく、預貯金や借入金なども含めて相続の全体像を確認することが大切です。
相続放棄を検討する場合は、家庭裁判所での手続きに原則として期限があります。家財の処分が判断へ影響する可能性もあるため、早い段階で司法書士や弁護士などへ確認してください。
実家じまいでよくある失敗を避けるには
- 片付けを先に始めない:家族の合意がないまま捨てると、思い出の品や相続財産をめぐる問題につながります。
- 解体を急がない:古い建物を残したまま売れる可能性や、解体後の税負担も確認します。
- 査定額だけで会社を選ばない:査定の根拠、費用、担当者の説明も比べます。
- 一人で抱え込まない:現地確認、書類探し、片付けなど、家族ごとに担当を分けます。
- 空き家を放置しない:方針が決まらない間も、定期的な換気や見回り、防犯対策を続けます。
実家じまいに関するよくある質問
- Q実家じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?
- A
家財の量、相続手続きの有無、売却方法によって変わります。特に、相続人同士の話し合いや買主探しには時間がかかることがあります。完了時期だけでなく、「今月は名義確認」「翌月は査定」のように区切ると進めやすくなります。
- Q遠方に住んでいても実家じまいはできますか?
- A
現地へ行く回数を抑えながら進めることは可能です。帰省日に合わせて不動産査定や片付けの見積もりを入れ、確認事項をまとめておくと効率的です。ただし、契約や本人確認の方法は依頼先へ事前に確認してください。
- Q家の中が荷物だらけでも査定してもらえますか?
- A
荷物が残った状態でも査定を相談できます。片付け前に査定を受け、家財撤去にかかる費用を含めて売却方法を検討するほうが、余計な出費を抑えられることもあります。
- Q兄弟姉妹の意見がまとまらないときはどうしますか?
- A
売るか残すかだけで話し合わず、維持費、査定価格、修繕費などの情報を共有しましょう。数字が分かると、現実的な選択肢を比較しやすくなります。共有名義や遺産分割で対立が続く場合は、法律の専門家への相談も検討します。
- Q実家じまいのお金が足りない場合はどうすればよいですか?
- A
すべてを自費で片付けてから売る方法だけではありません。家財が残った状態での売却や不動産買取を相談できる場合があります。自治体によっては空き家の解体などに関する支援制度が設けられていることもあるため、実家がある自治体へ確認してみましょう。
まとめ|名義と家族の意向を確認するところから始める
実家じまいで最初にすることは、家を片付けることではありません。実家の現状、土地と建物の名義、親や家族の意向を確認することから始めます。
その後、維持費と売却価格の目安を調べ、実家を売るのか残すのかを決めます。方針が決まってから片付けると、必要以上に費用や時間をかけずに済みます。
何から手を付けるか迷っている方は、固定資産税の納税通知書を探し、家族へ連絡するところから始めてみてください。売却を検討しているなら、片付けや解体を依頼する前に不動産査定を受けて、実家の価値を把握しておくと判断しやすくなります。







