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相続した家がいらない場合はどうする?売却・相続放棄などの処分方法

相続した家がいらない場合はどうする?売却・相続放棄などの処分方法 相続

「実家を相続することになったものの、自分では住まない」「遠方にあり、管理を続けられない」と悩む方は少なくありません。

相続した家がいらない場合は、売却が現実的な選択肢です。ただし、相続が始まった直後なら相続放棄を検討できることもあります。土地の条件によっては、国に引き渡す制度も利用できます。

選べる方法は、相続手続きの進み具合や家の状態によって変わります。家だけを見て急いで決めず、預貯金や借金を含む遺産全体を確認することが大切です。

この記事は次のような人におすすめ!

  • いらない実家を処分する主な方法
  • 売却と相続放棄を判断するときの注意点
  • 相続した家を売る流れと確認しておきたい費用

相続した家がいらない場合に考えられる選択肢

相続した家が不要だからといって、自動的に手放せるわけではありません。主な選択肢は、次の5つです。

  • 不動産会社を通して売却する
  • 不動産会社に直接買い取ってもらう
  • 賃貸住宅などとして活用する
  • 自治体や法人、個人へ寄付・譲渡する
  • 相続放棄または相続土地国庫帰属制度を検討する

すでに相続した後なら、売却を中心に考えるのが一般的です。まだ相続するかどうかを決めていない段階では、相続放棄も候補になります。

不動産会社を通して売却する

仲介による売却は、不動産会社に買主を探してもらう方法です。ある程度の需要が見込める地域なら、ほかの方法より高く売れる可能性があります。

一方で、買主が見つかるまでの期間は予測できません。建物の傷みが激しい場合や、境界・接道に問題がある場合は、売却に時間がかかることもあります。

不動産会社に買い取ってもらう

不動産会社が直接家を買う「不動産買取」という方法もあります。買主を探す期間がないため、仲介より早く現金化しやすいのが特徴です。

ただし、一般的には仲介による売却より価格が低くなる傾向があります。家具や家電を残したまま買い取れるかどうかは会社ごとに違うため、査定時に確認しておくと安心です。

賃貸住宅などとして活用する

家の状態や立地がよければ、貸して家賃収入を得る方法もあります。将来自分や子どもが住む可能性があり、すぐには売りたくない場合にも選択肢になります。

ただし、修繕費や入居者対応、固定資産税などの負担は残ります。賃貸需要が少ない地域では、リフォームしても入居者が決まらないことがあるため、地元の不動産会社に需要を確認してから判断しましょう。

自治体や法人などへ寄付・譲渡する

自治体、公益法人、近隣の人などへ寄付・譲渡できる場合もあります。しかし、使い道のない不動産は管理費がかかるため、無条件で受け取ってもらえるとは限りません。

無償で譲っても、受け取る側に税金が生じる可能性があります。個人間で話を進めるときは、税理士や司法書士などに税金と名義変更の手続きを確認してください。

相続前なら相続放棄も検討できる

相続放棄とは、亡くなった人の財産を相続する権利を放棄する手続きです。原則として、自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てます。

相続放棄をすると、いらない家だけでなく、預貯金や有価証券なども相続できません。家だけを選んで放棄する制度ではない点に注意が必要です。

家に価値がなくても、預貯金や保険、ほかの土地を含めると、遺産全体ではプラスになることがあります。反対に、住宅ローン以外の借金や未払い金が見つかるケースもあります。相続放棄を決める前に、財産と負債をできる範囲で調べておきましょう。

また、相続財産を売ったり処分したりすると、相続を承認したと判断され、相続放棄が認められない可能性があります。放棄を考えている段階では、自己判断で家や家財を処分せず、家庭裁判所や弁護士などに確認してください。

相続放棄によって、別の親族が新たに相続人になることもあります。放棄後の管理責任は、家を実際に占有しているかなどで扱いが異なるため、家の鍵を持ち管理している場合は個別の確認が必要です。

土地を国に引き渡す相続土地国庫帰属制度

相続や一定の遺贈によって取得した土地は、「相続土地国庫帰属制度」を利用して国へ引き渡せる場合があります。売却先も譲渡先も見つからない土地を手放すための制度です。

ただし、申請すれば必ず引き取ってもらえるわけではありません。建物がある土地、境界が明らかでない土地、管理に大きな手間や費用がかかる土地などは、対象外または不承認となる可能性があります。

審査のための手数料が必要で、承認後には土地の管理費に相当する負担金も納めます。制度を検討するときは、法務局で対象条件や必要書類を確認しましょう。

この制度の対象は土地です。家が建っている実家をそのまま国へ引き渡すことはできないため、建物の解体費用も含めて売却と比較する必要があります。

処分方法を決める前に確認したいこと

相続人と遺言書の有無

遺言書がなく相続人が複数いる場合、遺産分割協議で誰が家を取得するか決めます。共有名義にすると、将来の売却や大きな修繕について共有者間の調整が必要になります。

「ひとまず兄弟全員の名義にする」と決める前に、売却するのか、誰かが住むのかまで話し合っておくと、後の手続きを進めやすくなります。

家と土地の名義

土地と建物の名義が同じとは限りません。建物は親名義でも、土地は祖父母や親族の名義のままということがあります。

不動産の名義は、法務局で取得できる登記事項証明書で確認できます。売却するには、原則として亡くなった人から相続人への相続登記が必要です。

相続登記には申請期限があります。いつ相続を知ったか、遺産分割がいつ成立したかなどで期限の考え方が変わることもあるため、手続きが済んでいない場合は法務局や司法書士に確認してください。

住宅ローンや抵当権の有無

住宅ローンが残っている場合でも、団体信用生命保険によって返済されることがあります。金融機関へ連絡し、残高と保険の適用を確認しましょう。

登記簿に抵当権が残っている場合は、売却までに抹消できるかも確認します。完済済みでも登記だけ残っているケースがあります。

家の価格と処分費用

古い家だからといって、価値がないとは限りません。建物に価格がつかなくても、土地の需要がある場合や、古家付き土地として売れる場合があります。

反対に、解体費や測量費、家財の処分費を差し引くと手元にほとんど残らないこともあります。売却価格だけではなく、処分に必要な費用まで見積もることが大切です。

相続した家を売却する流れ

相続した実家を売る場合は、おおむね次の順番で進めます。

  • 遺言書と相続人を確認する
  • 不動産、預貯金、借金などの遺産を調べる
  • 遺産分割協議で家を取得する人を決める
  • 相続登記を行う
  • 不動産会社へ査定を依頼する
  • 仲介または買取を選んで売却する
  • 売却後に必要な税務申告を行う

査定は1社だけで決めず、複数社へ依頼すると価格と売却方針を比較しやすくなります。高い査定額がそのまま売れる価格とは限らないため、査定の根拠や周辺の成約状況も聞いてみましょう。

実家の片付け、売却、解体などを含む全体の進め方は、実家じまいの手順と費用をまとめた記事でも確認できます。

相続した家の売却でかかる費用と税金

家が売れても、売却代金の全額が手元に残るわけではありません。状況に応じて、次のような費用がかかります。

  • 不動産会社へ支払う仲介手数料
  • 相続登記や抵当権抹消などの登記費用
  • 測量や境界確認の費用
  • 家具、家電、ごみなどの処分費
  • 建物を取り壊す場合の解体費
  • 売買契約書にかかる印紙税
  • 売却で利益が出た場合の譲渡所得税など

売却による利益は、単純な売却価格ではありません。取得費や売却費用などを差し引いて計算します。相続した不動産では、原則として亡くなった人が購入したときの取得費を引き継ぐため、古い売買契約書や領収書を探しておきましょう。

一定の要件を満たす相続空き家には、譲渡所得を抑えられる特例が使える場合があります。建築時期、亡くなった人の居住状況、売却時期、建物の状態など細かな条件があるため、売却前に税務署や税理士へ確認しておくと安心です。

いらない家を放置するリスク

処分方法が決まらなくても、空き家の負担は続き、固定資産税のほか、火災保険、庭木の手入れ、換気、修繕などにお金と手間がかかります。

管理されていない家は、雨漏りや湿気によって傷みやすくなります。庭木や害虫、建物の一部の落下が近隣トラブルにつながることもあるでしょう。家の状態が悪化すれば、売却価格にも影響します。

すぐに結論が出ない場合でも、郵便物の整理、通水、換気、庭木の確認など、最低限の管理方法を決めておく必要があります。遠方で通えないときは、空き家管理サービスを利用する方法もあります。

迷ったときに進めたい3つの行動

  • 遺産全体を確認する:家だけでなく、預貯金、保険、借金、未払い金も調べます。
  • 家の価格を把握する:不動産会社へ査定を依頼し、仲介と買取の見込みを確認します。
  • 期限のある手続きを確認する:相続放棄、相続登記、税務申告の期限を整理します。

相続放棄の期限が近い場合は、売却査定より先に家庭裁判所や弁護士などへ確認したほうがよいこともあります。相続する方針が決まっているなら、査定で家の価値を把握すると、売却・保有・賃貸を比較しやすくなります。

相続した家の処分に関するよくある質問

Q
相続した家だけを放棄できますか?
A

相続放棄で家だけを選んで放棄することはできません。相続放棄をすると、原則として預貯金などを含むすべての相続権を手放します。家だけが不要な場合は、相続したうえで売却や譲渡を検討します。

Q
3か月以内に財産を調べきれない場合はどうしますか?
A

相続財産の調査が終わらないなどの事情がある場合、家庭裁判所へ相続放棄の検討期間を延ばす申立てができることがあります。期間が過ぎてからではなく、原則の3か月以内に手続きを検討してください。

Q
家財道具が残ったままでも売れますか?
A

家財を残したまま売れる場合もあります。特に不動産買取では対応している会社がありますが、処分費が買取価格から差し引かれることもあります。相続放棄を検討中の場合は、家財を勝手に処分しないよう注意してください。

Q
古い家は解体してから売るべきですか?
A

解体が有利とは限りません。中古住宅や古家付き土地として買いたい人がいる可能性もあります。また、解体すると固定資産税の住宅用地に対する軽減措置が受けられなくなることがあります。

解体前の状態で不動産会社へ相談し、「そのまま売る場合」と「更地にする場合」の手取り額を比べると判断しやすくなります。

Q
兄弟の一人が売却に反対している場合は売れますか?
A

家が共有名義の場合、家全体の売却には原則として共有者全員の合意が必要です。遺産分割前であれば、誰が取得するか、売却代金をどう分けるかを相続人で話し合います。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停などを検討することになります。共有持分だけを売る方法もありますが、売却先や価格が限られやすいため慎重な判断が必要です。

まとめ

相続した家がいらない場合は、仲介による売却や不動産買取が主な選択肢です。相続する前なら相続放棄、条件を満たす土地なら相続土地国庫帰属制度も検討できます。

ただし、相続放棄では家だけを手放すことはできません。預貯金や借金を含む遺産全体を確認し、期限内に判断する必要があります。

相続する方針が決まっているなら、名義や抵当権を確認したうえで、不動産会社の査定を受けてみましょう。売却価格と処分費用が分かれば、そのまま売るか、解体するか、保有するかを具体的に比較できます。