「築年数が古すぎて買い手が見つからないのでは」と心配になるかもしれません。しかし、古い実家でも売却できる可能性はあります。
建物をそのまま使いたい人だけでなく、リフォームを前提に探している人や、土地を求めている人もいるからです。建物の価値が低くても、立地や土地の条件によっては十分な需要が見込めます。
ただし、中古住宅として売る、古家付き土地として売る、解体して更地にする、不動産会社に買い取ってもらうなど、選ぶ方法によって費用や売れやすさが変わります。この記事では、古い実家を売却する方法と判断のポイントを初心者向けに解説します。

この記事は次のような人におすすめ!
- 築年数が古い実家でも売却できる理由
- 古い家を売る4つの方法とそれぞれの違い
- 売れやすさを左右する土地・建物の条件
- 売却前に確認しておきたい費用と注意点
- 仲介と不動産買取のどちらが合うか
古い実家でも売却できる可能性はある
不動産の価値は、築年数だけでは決まりません。建物が古くても、駅や生活施設に近い、日当たりがよい、土地の形が使いやすいといった条件があれば、購入希望者が現れる可能性があります。
近年は、築古住宅を購入して自分好みにリフォームしたい人もいます。定期的に修繕され、雨漏りや傾きなどの大きな問題がなければ、住宅として検討してもらえることもあるでしょう。
一方、建物が著しく傷んでいる場合でも、土地を利用したい人に売る方法があります。「古いから売れない」と決めつけず、建物と土地を分けて価値を調べることが大切です。
古い実家を売却する4つの方法
1.中古住宅としてそのまま売る
建物を残し、土地と住宅を一体で売却する方法です。家の状態が比較的よく、購入後に住める場合や、修繕によって利用できる場合に向いています。
売主が解体費用を負担しなくてよく、買主も建物の状態を見ながらリフォーム計画を立てられる点がメリットです。古民家らしい外観や庭、昔ながらの間取りが評価されるケースもあります。
ただし、築年数や建物の状態によっては、買主が住宅ローンを利用しにくい場合があります。雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の故障などがあれば、売却前に不動産会社へ伝えておきましょう。
2.古家付き土地として売る
古家付き土地とは、建物を残したまま、土地としての利用を前提に売り出す方法です。建物を使うか解体するかは、基本的に買主が購入後に判断します。
売主は先に解体費用を用意する必要がなく、「解体したのに売れない」という事態も避けられます。建物に価値が付きにくい古い実家では、現実的な選択肢の一つです。
買主が解体費用を負担する前提になるため、その分を考慮した価格交渉が入る可能性はあります。販売価格は土地の相場だけで決めず、解体費用や建物の状態も踏まえて設定します。
3.建物を解体して更地で売る
老朽化が進んだ建物を解体し、土地だけを売る方法です。買主がすぐに新築工事を検討できるため、住宅用地の需要がある地域では売りやすくなることがあります。
ただし、解体すれば必ず高く売れるわけではありません。解体費用を売却価格に上乗せできるとも限らず、建物がなくなることで土地にかかる税金の扱いが変わる場合もあります。
また、接している道路や法令上の条件によっては、新しい建物を建てられない土地もあります。このような土地で先に家を壊すと、かえって売りにくくなるおそれがあります。解体業者へ依頼する前に、不動産会社や自治体の窓口などで建築条件を確認してください。
4.不動産会社に買い取ってもらう
不動産買取は、不動産会社が買主となって実家を直接購入する方法です。一般の購入希望者を探す仲介とは仕組みが異なります。
売却価格は仲介で売る場合より低くなる傾向がありますが、条件が合えば早期に手続きを進められます。大量の荷物が残っている、遠方に住んでいて何度も現地へ行けない、近所に知られず売りたいといった場合にも検討しやすいでしょう。
会社によって、対応できる地域や建物の状態、残置物の取り扱いが違います。買取を選ぶ場合も1社だけで決めず、複数社へ査定を依頼し、手取り額と条件を比べることが大切です。
古い家の売れやすさを左右するポイント
立地と周辺の需要
築古物件では、建物よりも土地の条件が価格を左右するケースがあります。駅やバス停からの距離、買い物のしやすさ、学校や病院へのアクセスなどは、購入希望者が重視しやすい要素です。
都市部でなくても、駐車スペースを確保しやすい、静かな住環境がある、移住先として需要があるなど、地域によって評価される点は異なります。地域の取引に詳しい不動産会社へ相談すると、需要に合った売り方を提案してもらいやすくなります。
土地の形・広さ・道路との関係
土地の形が整っていて利用しやすいか、敷地へ車が入れるか、道路にどのように接しているかも確認されます。隣地との境界が不明確な場合は、売却手続きに時間がかかることがあります。
特に古い実家では、登記上の面積と実際の状況が違う、隣家との間に境界標がないといった問題も珍しくありません。測量が必要かどうかは、不動産会社や土地家屋調査士などの専門家に確認します。
建物の劣化状況と管理状態
同じ築年数でも、修繕や管理の状況によって建物の価値は変わります。屋根や外壁を定期的に直していた家と、長期間放置されていた家では、必要な修繕費に差が出るためです。
空き家は換気や通水が行われないと劣化が進みやすくなります。売却まで時間がかかる場合は、定期的に室内の換気や庭木の手入れを行い、郵便物も放置しないようにしましょう。
建て替えや増改築に関する条件
現在の建築ルールに合わない部分や、登記されていない増築部分があると、買主の資金計画や建て替えに影響する場合があります。古い建物では、建築当時と現在のルールが異なることもあります。
売主だけで判断するのは難しいため、査定時に建築確認に関する書類や増改築の履歴を見てもらいましょう。書類が見当たらなくても、分かる範囲で状況を伝えれば調査方法を案内してもらえます。
古い実家を売るときの流れ
所有者と相続の状況を確認する
売却できるのは、原則として不動産の所有者です。親名義のままなら、親本人の意思確認が必要になります。認知機能の低下などによって本人が契約内容を判断できない場合は、家族が代わりに署名するだけでは売却できません。
相続した実家は、名義変更の手続きが済んでいるか確認します。相続人が複数いる場合は、誰が不動産を取得するのか、売却代金をどう分けるのかについて話し合いが必要です。相続登記などの制度は改正されることがあるため、法務局や司法書士などに最新情報を確認してください。
実家の書類を集める
登記関係の書類、固定資産税に関する書類、土地の測量図、建築確認書類、購入時の契約書、修繕履歴などを探します。すべてそろっていなくても査定は受けられますが、資料が多いほど物件の状態を確認しやすくなります。
複数の不動産会社へ査定を依頼する
査定では、仲介で売る場合の想定価格に加え、古家付き土地や更地にした場合の見込みも聞いてみましょう。早く手放したい場合は、買取価格も確認すると比較しやすくなります。
査定額が最も高い会社が、必ずしも最適とは限りません。査定額の根拠、販売方法、想定する購入者、売却までの見通しを具体的に説明できるかが判断材料になります。
売却方法と価格を決める
査定結果と必要な費用を比べ、中古住宅、古家付き土地、更地、買取のどれで進めるかを決めます。高く売ることを優先するのか、管理負担を早くなくしたいのかによって、適した方法は変わります。
仲介を選ぶ場合は、不動産会社と媒介契約を結んで販売活動を始めます。購入希望者が見つかったら条件を調整し、売買契約、代金の受け取り、引き渡しへ進みます。
売却前に考えておきたい主な費用
古い実家の売却では、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。物件の状況や売り方によって、次のような費用が発生します。
- 不動産会社へ支払う仲介手数料
- 契約書にかかる印紙税
- 相続登記や住所変更などの登記費用
- 境界確認や測量にかかる費用
- 家財の処分・片付け費用
- 建物の解体費用
- 売却によって利益が出た場合の税金
税金には適用条件があり、相続した空き家などに利用できる特例が検討できる場合もあります。制度の内容や期限は変更される可能性があるため、売却時点の情報を税理士や税務署などに確認しましょう。
古い実家の売却で失敗を避けるポイント
査定前に解体しない
老朽化した家を見ると、先に解体したほうが売れそうに感じるかもしれません。しかし、中古住宅や古家付き土地として売れる可能性もあり、解体後に建て替えできないことが分かるケースもあります。
解体するかどうかは、複数の不動産会社による査定と建築条件の確認を終えてから判断するのが安全です。
高額なリフォームを急がない
きれいに直せば高く売れるとは限りません。購入者が自分好みに改装したい場合、売主のリフォームが評価されないこともあります。
掃除や庭の手入れ、不要品の整理は内覧時の印象改善につながりますが、高額な工事は費用を回収できるか慎重に検討してください。工事をする場合は、地域の需要を把握している不動産会社へ相談してから決めましょう。
把握している不具合を隠さない
雨漏り、シロアリ被害、傾き、給排水管の故障など、把握している不具合は不動産会社と買主へ伝える必要があります。古い家だからという理由で、何も説明しなくてよいわけではありません。
引き渡し後のトラブルを減らすには、物件の状態を契約書類へ適切に反映することが大切です。必要に応じて、専門家が建物の状態を確認する住宅診断についても不動産会社へ相談できます。
査定額ではなく手取り額で比較する
売却方法を比べる際は、提示された価格だけでなく、解体費、片付け費、仲介手数料などを差し引いた手取り額を確認します。
たとえば、更地の査定額が古家付き土地より高くても、その差より解体費用のほうが大きければ、古家付きのまま売るほうが手元に残る金額は多くなります。売却にかかる期間や管理費用も含めて判断しましょう。
仲介と買取はどちらを選ぶべき?
売却価格を重視し、一定の時間をかけられる場合は、不動産会社に購入希望者を探してもらう仲介が候補になります。建物の状態がよい、土地需要のある地域に建っているといった実家にも向いています。
一方、早めに現金化したい、遠方からの管理が負担になっている、建物の傷みや残置物が多い場合は、買取も検討できます。ただし、すべての古い家を買い取ってもらえるわけではなく、価格や条件は会社ごとに異なります。
- 価格を優先したい:仲介による売却を中心に検討する
- 早さや手間の少なさを優先したい:買取価格も確認する
- どちらか決められない:仲介査定と買取査定の両方を依頼する
古い実家の価値は、外観や築年数だけでは判断できません。解体や大がかりな片付けを始める前に査定を受け、売却方法ごとの価格と費用を比較すると、無理のない方針を立てやすくなります。
片付けや相続を含め、実家を手放すまでの全体像を知りたい方は、実家じまいの手順・費用・片付け・売却をまとめた解説も参考にしてください。
まとめ
築年数が古い実家でも、中古住宅、古家付き土地、更地、不動産買取という複数の方法で売却を検討できます。建物の価値が付きにくくても、立地や土地の条件に需要があれば売れる可能性はあります。
注意したいのは、査定を受ける前に解体や高額なリフォームを進めないことです。工事費を回収できないだけでなく、物件の選択肢を狭めるおそれがあります。
古い家の査定は、不動産会社によって評価や提案が分かれやすい分野です。地域の築古物件に詳しい会社を含めて複数社へ相談し、査定額の根拠、必要経費、売却期間を比較しましょう。早期売却を希望する場合は、仲介査定とあわせて買取査定を取ると判断しやすくなります。
古い実家の売却に関するFAQ
- Q築50年以上の実家でも売れますか?
- A
築50年以上でも売却できる可能性はあります。建物の状態がよければ中古住宅として、利用が難しければ古家付き土地として売る方法があります。築年数だけで判断せず、土地と建物の両方を査定してもらいましょう。
- Q家財道具が残ったままでも査定できますか?
- A
家財道具が残っていても査定を受けられることが一般的です。仲介では引き渡しまでに片付けを求められる場合がありますが、買取では残置物を含めて相談できる会社もあります。処分条件と費用は査定時に確認してください。
- Q遠方にある実家も売却できますか?
- A
遠方の実家も売却できます。書類のやり取りや契約方法について、不動産会社が対応策を案内してくれる場合があります。ただし、本人確認や現地での確認が必要になることもあるため、訪問回数や手続き方法を依頼前に聞いておくと安心です。
- Q売却前に最低限どこまで片付けるべきですか?
- A
査定前にすべて片付ける必要はありません。権利証などの重要書類、通帳、印鑑、写真、貴金属といった必要品を先に分けておくとよいでしょう。仲介で内覧を行う場合は、室内を移動できる程度に整理すると建物の状態を見てもらいやすくなります。
- Q相続した実家を売ると税金がかかりますか?
- A
売却によって利益が出た場合は、税金がかかる可能性があります。一方で、物件や相続の状況によって利用を検討できる特例もあります。税額は取得時の価格や売却費用などで変わるため、契約前に税理士や税務署へ確認してください。







